傾聴のワーク

❑ 体験の前に、日頃どんな態度で話を聴いているか質問する！

　体験に入る前に「聴きたくない時って、相手にどんな態度をとってますか？」と参加者に質問して訊いてみると良いでしょう。例えば「話し手の目を見ない」「嫌そうな表情をする」「無視をする」「貧乏ゆすりする」等、発言があがると思います。そしたら、「聴きたくない時って、そういう態度とりますよね」と共感し、「じゃあ、このワークでは、そんな風に、聴きたくない態度を露骨に演技して下さいね。」とお願いすると、ワークが盛り上がります。

　逆に、「聴きたい聴き方」のワークのときには、「日頃、聴きたい時って、どんな態度とってますか？」と参加者に質問してからワークに入ると、参加者のイメージが膨らむので、ワークがスムーズに進みます。

❑ 話し手として話した時、どんな話し方になったか感想を訊く！

　「聴きたくない態度」で聴かれた時と、「聴きたい態度」で聴いてもらった時と、話し手としてどんな違いがあったのか、数名に尋ねてみると良いでしょう。「聴きたい態度」で聴いてもらった時は、「気持ちよく話せた」「時間があっという間だった」「もっと話したくなった」等、肯定的な感想が上がってくるはずです。こういう「聴きたい態度」で相手の話を聴くことを「傾聴」というんですよ、と説明してあげて下さい。

　「聴きたい態度」で話を聴くと、話し手の心の状態が良くなるので、視野が広がって、気持ちよく、たくさん話をするようになります。なので、「私は、あなたの話をちゃんと聞いてますよ」というサインを贈って、相手が話しやすくなる雰囲気をつくっていくことが傾聴のポイントになります。

　「傾聴」とは「相手のよき理解者になること」だと言えます。相手が感じていること、気持ち・感情を、こちらも感じて理解することで、少しずつ相手との信頼関係が深くなるんですね。そのためには、相手にどれだけ、話したいことをいっぱい話してもらえるかがポイントになります。皆さんは、誰かに自分の話を聞いてほしいと思った時に「本当に聞いてくれる、最後まで話させてくれる人」って、どれくらいいらっしゃるでしょうか？　おそらく、そんなにはいらっしゃらないんじゃないかと思います。でも、もし一人でも、そういう方がいたら、どうでしょうか。「こんなに私の話を聴いてくれて、本当に嬉しい。私のことを本当に分かってくれるのはこの人だけだ」という気持ちになるんじゃないでしょうか。心を開いて、その人を信頼するようになるんです。