具体的には？

❑ 講師が参加者相手にデモンストレーションするのがおススメ！

　イメージが湧かない参加者もいるので、講師がデモをするとよいでしょう。デモは、真面目にやり過ぎると、堅苦しくなってしまうので、柔らかい雰囲気を意識して、できればくだけたノリで楽しくできるといいですね。参加者の中から、ノリの良さそうな人を１人選び、相手役になってもらって、ワークを実施します。ワークの実施後は、どんな体験だったのか、感じたことや気づいたことを話してもらうと、皆さんの学びに繋がります。

❑ シンプルに「具体的には？」と訊くだけでいい！

　私たちは、相手を理解しようとする時、どうしても自分の訊きたいことを質問してしまいがちです。すると、相手の思考が質問する側の視点に引っ張られてしまいます。でも、コーチングで大切なのは、相手が、思考を深めたり、整理できるように、相手目線で聴くことです。なので、相手により深く考えてもらうための、シンプルな質問をしていくことは、大切なことです。その代表的な質問が「具体的には？」です。相手の話に関心を持って傾聴し、さらに正確に理解しようと質問してくれることで、相手はより深く自分の内面に入り込み、結果として本当に必要な気づきが得られます。

　質問して相手がすぐに答える内容は、相手が普段から考えているほんの「氷山の一角」に過ぎません。抽象的な表現であることも多いです。なので、相手の話をすぐ分かったつもりになって、鵜呑みにしないことが大切です。「具体的には？」とか「〇〇っていうのは？」と質問することで、相手はそれをより具体的に説明しようと、自分の内面に入り込み、だんだん思考が深まっていきます。自分の深いところを、言語化することで、頭が整理され、気づきが生まれます。相手の思考を深めたいときに効果のある質問です。

　コーチングで質問しようとすると、「次はどんな質問をすればいいのだろう？」と悩むことがあります。相手の話したことに対してどんな質問をするかって、結構難しいです。聴き手の意識が質問で悩んだ状態になると、意識が傾聴から離れてしまいます。コーチングで大切なのは、あくまでも傾聴です。相手に寄り添って受け止めてあげる姿勢が土台にあってこそ、はじめて質問が相手に刺さるんですね。なので、コーチングの質問は、皆さんが自ら考えるのではなく、慣れるまでは本書で紹介する「シンプルな質問」をそのまま使って頂くのがおススメです。